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身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜今、どんな「時」を戦っていますか?〜読者質問への回答〜■■■
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前号のコラムに多くのメールをいただきました。
すごい反響でした。
・「敵に塩を贈る」という故事があるが、ランチェスターにより、それも戦
略だと合理的にわかる、というご意見。(←す、するどいっ!)
・シェアを独占したがゆえに、マーケットを失ったことがあるという経験談。
(↑机上の理論ではないのです。「上限目標値」というものは)
・世の中には必ず、アンチ・ディファクト・スタンダードを好む人がいる。
あまのじゃく、マニアだ。市場はNo.1に作らせておいて、それに差別
化し存在感を打ち出すオンリーワン的な戦略もあるのでは、という発想。
(↑その通り!弱者の基本戦略ですね)
・野球ファンとして、おおいに共感します、という感想。(←ナベツネさん
に伝わるといいな。巨人のためにもなることですから)
などが寄せられました。メールをくださった方々。
この場を借りてお礼申し上げます。
そんな中、一つ、大変よい質問をいただきました。
今号は、このご質問に答えつつ、成長期と成熟期の戦い方について考えてみることにします。
その前に、前号を見逃した、または今号からの読者様のために、簡単に前号のコラムをまとめておきますね(覚えている方は読み飛ばしてください)
●一社が独占的に市場シェアを占めてしまうと、その市場は活性化せず、需要は冷え込み、場合によっては衰退してしまう。ランチェスターでは市場シェア73.9%をシェアの最終目標値としながらも、それ以上はとるな、という意味で上限目標値としている。
●今日の球界再編騒動は、巨人が、球界全体の富の上限目標値を超える存在となってしまったがゆえに、球界市場の衰退がはじまったことが原因。よって、1リーグ、2リーグという議論には意味がなく、巨人が「敵に塩を贈る」がごとく、富を再配分すれば、球界が活性化され、マーケットが広がる。巨人も損はしない。なぜなら、シェアは下がってもパイが拡大するのだから、売上利益が上がるので。
●読者N様からのご質問(個人情報に配慮して一部修正済み)
> 福永先生
>
> いつも先生のメルマガを拝読させて頂いております、Nと申します。(○
> ○会社に勤務する、サラリーマンでございます。)
>
> 「小が大に勝つ/第25号〜球界再編騒動を斬る〜」を熟読させて頂きま
> して、疑問が生じました。
> ついては、考え方のコツ等をご教示頂けますと幸甚でございます。
>
> ≪ご質問≫
> 巨人は、昭和20年代後半〜30年代あたりにおいても「野球マーケット
> (球界)の富の73.9%以上」を占有し(続け)ていた。←私の一方
> 的憶測でございます(TV放映等は、「今の時代」以上に巨人戦に偏って
> いた由。)。にもかかわらず、球界は衰退しなかった。(需要は冷え込まな
> かった。)このことを、どうとらえるべきなのか。
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それでは回答しましょう。
まず、私もN様も巨人に、球界の73.9%(上限目標値)以上の富が集中しているということを感覚的に捉えており、感じ方が違うだけです。
私は、近年(平成になって)上限を超えた、と感じており、N様は昭和20年代後半から30年代にかけても、そうであったと感じてらっしゃる。
「巨人・大鵬・卵焼き」といわれ、巨人戦は力道山のプロレスと並ぶ街頭テレビのキラーコンテンツでした。
巨人が当時から球界でダントツな存在であったことは間違いない。
上限を超えていたのか、いないのかは感覚的な話であまり意味はありません。
私が上限は超えていないだろうと感じているのはたとえば、昭和30年代当時、こんなエピソードがあるからです。
かの名将・三原脩監督(巨人・西鉄などで監督をつとめた方)は「日本球界の最高のバッターを5人挙げるとするなら、『川上・大下・中西・長島・王』である。
3人に絞るとするなら『大下・中西・長島』。
そして、たった1人を選ぶならば『大下』である」と語ったという。
N様と私の見解の相違は、重要ではありません。
それよりも大切なモノサシは「時代」です。
プロ野球というコンテンツ市場が拡大成長している時代なのか、成熟し前年対比がほとんど変わらないゼロサム時代なのか、この違いによって、競争パターンは異なってくるのです。
昭和20年代後半から30年代にかけては、人口もGDPも日本全体が成長期です。
特にスポーツレジャーの代名詞であったプロ野球は急速に発展したと思われます。
一方、今日は、日本全体が成熟しきっています。
レジャーも多様化し、野球も1of themです。この違いに注目してください。
成長期は、需要というパイが大きくなっているわけですから、1位企業は当然伸びますが、2位も3位も6位までも、それなりに恩恵をこうむり、伸びることができるのです。
各社は、もちろんライバルですが、同時に市場創造の仲間でもあるのです。
呉越同舟でマーケットというパイを広げ、各社が力に応じて、分け前にありつけるのです。
成長期の競争は、各社が伸びることができ、順位がつく100m走のような「レース型」の競争となるのです。
先発が有利です。
成熟期は、需要というパイが大きくならない、去年とかわらない状態です。
そんな中でも、企業というのは前年対比で増収増益することを宿命づけられた存在なのです。
自社が売上・利益をあげるには、同業他社の売上・利益を奪うことに他なりません。
自社の新規開拓とは他社のお客さんを奪うことなのです。
陣取り合戦、分捕り合戦の様相を呈します。
成熟期の競争は、誰かが浮かべば、その分だけ、誰かが沈むマージャンのような「ゲーム型」の競争となるのです。
よって、勝ち組・負け組が出てきてしまうのです。
そして、市場が前年対比で縮小する衰退期となると、競争はますます激化し、勝ち組も1社だけ、残り全てが負け組という「一人勝ち」ということも起こりうるのです。
つまり、N様の疑問「なぜ、衰退しなかったのか?」の回答は、成長期=レース型競争時代だったので、1位以外も、みんな、それなりに伸びることができたので、ということです。
過度な寡占は市場の衰退をもたらす、とともに、逆も真なり。
衰退市場は過度な寡占状態を招く、ということです。
鶏と卵の関係なのです。
今、私はご質問に答えるために、わかりやすく成長期、成熟期、衰退期を時代で区分しました。
これを正確にいうと、今、戦っている市場が成長期にあるのか、成熟期にあるのか、衰退期にあるのか、ここを見極め、戦い方、すなわち戦略を変えるべきなのです。
成長期であれば、「小」であっても、それなりに分け前にあずかれますから、イケイケ、ドンドンでよいのです。
体力勝負です。投資に見合った回収が期待できます。
大手追随方式でよいのです。
成熟期であれば、まじめに一生懸命やっても、自然体では、「小」は負け組となります。
ここに戦略が必要となるのです。
絶対に大手のマネをしてはなりません。
差別化、一点集中して、独自の存在感を作るべきなのです。
さて、読者様。
あなたは、今、どんな「時」を戦っていますか?
あなたのビジネスの母なる市場、福永流にいうなら「戦場」は、
成長期?
成熟期?
それとも衰退期?これによって、戦い方は全く異なるのです。
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■ランチェスター戦略入門講座 価格の差別化 ■■■
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弱者の基本戦略である差別化につきまして、これまでに「商品」「サービス」
の差別化手法について取り組んできました。今回は「価格」の差別化につい
て、事例を交えて解説しましょう。
価格の差別化というと、ユニクロ、ダイソー、さぬきうどんチェーンのような、いわゆる価格破壊を思い浮かべる人が多いだろう。
製造業の場合は、中国など海外の格安製造にやられて、切実に、それを感じていることだろう。
営業マンは、常に顧客に値引きを要求され、もっと、安くすれば売れるのに、と思っているだろう。
●だが、ランチェスターの価格の差別化とは、安くすることではなく、ライバル、特に強者と違う価格帯にすることなのだ。
何も安くするだけが能じゃない。どころか、弱者の安売りは危険。
エァドゥのように安くしても強者にミートされたら、一巻の終わり。
弱者は、どうしたら高く売れるのかということに知恵を絞ろう。
高くても売れている、いや、高いからこそ売れている商品は、いろいろある。
たとえば、化粧品メーカー各社とも超高級美肌クリームを発売している。
ノエビアは一瓶10万円。
コーセーは9万円。
こんな化粧クリームが売れている。
「高い=高性能=より美しくなれる」という消費心理が働いているのだ。
成分、性能は、そんなに違うものではないはず。
イメージで売っているのだ。
よく使われる例え話だが、ある売れない宝石店が、値札を一桁間違えて高くつけたら売れるようになったという。
これも高いものはよいものだ、という消費心理をついたもの。
一斤3600円もするパンがインターネットでバカ売れしている。
700個が3分で売り切れる。どころか、今では抽選だそうだ。
最高の天然酵母を使い、一流の職人が丁寧に作る、本当においしいパンだが、おしいいから買う以前に、そんな話題のパンなら食べてみたい、という心理で売っているのだ。
価格競争は、体力勝負。
もちろん、スズキのチョイノリ(純国産で50cc¥59800の単車)のようなイノベーションによって圧倒的な低価格を実現するケースもあるが、これとて、それだけの力がいるはず。
だから、価格競争は強者が圧倒的に有利なのだ。
それでも、多くの中小製造業者や、営業マンは日々、顧客から値引きを要求されている現実がある。
これをどう捉えるか。
同じものなら、一円でも安く買いたい、と思うのは、何も節約主婦だけではないのだ。
企業の購買・仕入れ担当も、安く仕入れることが評価の基準だと思っている。
つまり、同じものだから値引きを要求されるのだ。違うものを、なぜ作らないのか?
経営者や幹部は、営業マンの値引きを諌める前に、なぜ、値引きの対象とならない商品(武器)を、営業マンに渡す努力をしないのか。
次回は「チャネル」の差別化について解説します。
投稿者 戦国マーケティング : 2004年7月28日