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    第31号★チャネルの差別化★
 

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■ランチェスター入門講座 【チャネルの差別化】■■■
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▼勝敗に決定的な影響を与えるチャネル▼


入門講座は差別化について連載している途中でした。
これまで「商品」「価格」「サービス」の差別化については解説しました。
残りは「チャネル」と「地域」です。これが5大差別化ポイントです。

今号では「チャネル」の差別化について解説します。
チャネル=流通網は企業間競争の勝敗に決定的な影響を与えます。

火曜日号で、80年代から90年代前半に起きた大逆転劇について触れました。
家電業界においてソニー、シャープが松下、東芝、日立を逆転したのは、家電量販店(コジマやヨドバシ)という新たなチャネルへの対応のスピードが原因の一つであったと。
ビール業界においてアサヒがキリンに逆転した原因の一つにも、GMS(スーパー)、酒ディスカウンターへの対応のスピード差であったと。

清涼飲料水、特に缶コーヒーにおいてコカコーラ社のジョージアがNo.1であり続ける決定的な要因は、決してコマーシャルではありません。
もちろん品質(味)でもないです。
答えは単純。
自動販売機の数が圧倒的に多いからなのです。

パソコンの世界市場で1位、日本市場でもジリジリとシェアを上げているデル社。
通販チャネルに特化したことによって顧客対応力と価格競争力を確保しているのが強みなのです。

でも、これらの戦略には相当な企業力が必要ですね。
圧倒的多数である小さな会社でもできるチャネルの差別化戦略事例を一つご紹介しましょう。


▼ゴリラの鼻くそ▼


「ゴリラの鼻くそ」なるお菓子をご存知でしょうか。
もちろん、本物の鼻くそではありません。
大粒で黒くてシワシワの甘納豆です。島根県の小さな会社が発売しているお菓子なのです。
http://www.hanakuso.jp/

この甘納豆を見た人の一言「ゴリラの鼻くそみたいだな」で、社長さんはピーンときたそうです。
それをネーミングにしよう、と。
こうして何の変哲もない、ただの甘納豆は、前代未聞の奇抜で危険な珍商品に生まれ変わったのです。

これを思うと当社名の「戦国マーケティング」なんて可愛いもんですね。

ここまでならネーミングの差別化の話です。
今回のテーマはチャネルの差別化です。
この珍商品を一体、どうしたというのでしょうか?

動物園に販路を求めたのです。
ただの甘納豆なら、何の実績もない島根の小さな会社を誰も相手にしなかったでしょう。
しかし、これは「ゴリラの鼻くそ」です。
動物園のお土産物屋さんにピッタリではないですか。

まったく縁のなかった動物園への営業は苦でなかったそうです。
まず、笑いがとれる。
試しに食べてみる。
まずくはない(普通に作れば、まずい甘納豆なんて作れませんよね)。
話題性が出そうだ、ということで次々と採用。
こうなると噂は口コミで広まり、ウチにも置いてくれと。

こうしてあっという間に動物園を全国制覇。
今では商品ラインも広がり、キャラクターグッズまで出ているようです。
販路も動物園にとどまらず、テーマパークにまで広がっています。

結果から見ると、動物園という狭いチャネル向けの商品を開発し、成功したことになります。


▼自ら売り切る力▼


販路には直接流通、間接流通があり、そのバランス(直間比率)が重要です。

成長分野は一挙に販路を拡大すべきですから、間接流通(代理店販売)を重視し、販路拡大に努めるのが原則です。
一方、成熟分野では、顧客対応力で一人一人の顧客との関係を強化すべきですから直接流通(直販)を重視すべきが原則です。

また、強者は遠隔戦、確率戦で戦うべきですから、力が重層化できる間接流通を重視すべきです。
逆に弱者は接近戦、一騎打ち戦で戦うべきですから、顧客密着の直接流通を重視すべきです。

●成熟期、弱者が重視すべき「直販」とは自ら売り切る力を持つことです。

よく技術系ベンチャーが新商品を開発し、代理店を募集しています。
まだ世に認知されていない新商品を、自ら売り切る力を持たずして、誰が売ってくれるというのでしょうか。
まったく、わかっていません。
代理店、ディーラー、販社という商売は売れるものしか、売らないのです。

卸、問屋、代理店などの間接販売業者の場合は、どうすればよいのか。
強者なら、情報力、資本力でひたすら規模の拡大を求めスケール・メリットを追求していくべきです。
昨今、食品卸や医薬品卸で合併統合が相次いでいるのはそういう理由です。

弱者は、末端顧客に接近する川下作戦で対抗するしかないと思います。
エンドユーザーへの接点を握っている小売店などと一緒になって売っていく会社の垣根を超えた「チーム・セリング」に取り組むとよいでしょう。

弱者のチャネルの差別化とは「ゴリラの鼻くそ」のように、強者と違う販路を作ることですが、その真髄は自ら売り切る力を持つことなのです。