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身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜【ランチェスターな社長インタビュー】〜■■■
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第31号で取り上げた「ゴリラの鼻くそ」の社長さんから、すぐに連絡が来ました!すごい情報網を張っているのですね。
黒豆の薄甘納豆を過激な珍ネーミングで動物園で売りまくっている会社の社長さんです。
⇒ http://www.hanakuso.jp
この社長さんの頭の中はいったい、どうなっているのだろうか?と私は思っておりました。
社長さんは社長さんで、こんな珍商品をまじめに戦略論で斬っているコンサルタントとは何者だ?と思われたようで、ともかく一度お会いしましょう
となり、先日お会いしました。
島根県平田市の岡伊三郎商店(屋号=笑売堂)代表取締役 岡和正さんです。
やはりタダモノではありませんでした。
お互いに変人(?)なのか、初対面ですっかり仲良くなり、インタビューとして誌面に登場していただけることとなりました。
なんとすべてオープンにしてくれてよい、との太っ腹。
そこで、本誌ではじめての本格的インタビューを掲載します。
本当に、岡さんは“ランチェスターな社長”だったのです。
▼「笑いバカ一代」の信念と感性▼
福 “ゴリラの鼻くそ”に出会う前は街の酒屋さんだったとのことですが?
岡 はい。島根県平田市という人口たったの3万人の街で酒屋をやっておりまし
た。過疎な上にコンビ二やディスカウンターが出てきたために、店はジリ貧。
そんな時、息子が東京の大学に行くっていうもので、金がかかる。こりゃ、
なんとかしなければと、妻の実家が作っている黒豆の薄甘納豆でも売ろうか
と思っていたのです。
その黒豆の薄甘納豆をお茶うけに地元の落語仲間と雑談していたら、ボソッ
と「なんか、ゴリラの鼻くそみたいだな、これは。しわしわで真っ黒で」と
いう運命の一言が出たのです。そのときピーンときたのです。こりゃ、おも
しろい。それを商品名にしたら売れるのではないかと思い、商品化しました。
福 ちょ、ちょっと待ってください。確かにおもしろい。結果から見れば大成功
だったわけですが、常識的にはお菓子に、食べるものに“鼻くそ”という名
前はつけません。その非常識な発想方法に、私は興味があるのです。反対意
見もあったはず。
岡さんは落語がお好きとのことですが、その辺りに、その発想の源があるの
ではないかと思っているのですが、いかが?
岡 さすがですな。そこを見抜きましたか。実は、私は「笑い」をライフワーク
にしているのです。酒屋時代にも地元で落語同好会を作り、プロの落語家を
招いて定期的に寄席を開催していました。笑いも酒も健康のもとという考え
で、結果としてお客さんとの関係づくりにも大いに役立ちました。私自身は
落語はしません。プロデュースが好きなのですね。
福 落語もニッチな趣味ですよね。寄席を主催するプロデューサーは地元ではオ
ンリーワンの存在でしょう。究極のニッチはオンリーワンです。この辺りが
既にランチェスター的ですね。「笑い」ということに相当なこだわりがある
のではないでしょうか。
岡 “ゴリラの鼻くそ”のパッケージ裏面には「笑い一番 味一番」というキャ
ッチコピーと「笑いと黒豆は健康のもと」という文章を入れています。これ
が私の信念です。ですから「笑売堂」という屋号も登録しました。
こんな私ですから、正直、こと「笑い」に関しては、うるさいと自負してお
ります。“ゴリラの鼻くそ”と耳にしたときに、笑いとして成立するギリギ
リのところでセーフだと感じたのです。ギリギリだから過激でおもしろい。
“ゴリ鼻(略称)”がヒットしたら、すぐに類似商品が出てきました。“マン
トヒヒの鼻くそ”“クジラの耳くそ”“ゾウのうんち”…、どれもたいして
売れていないはず。これらは私の感性では、アウトなのです。ここは論理で
はない。感性の問題です。
もちろん、反対されました。というか、全員反対(苦笑)。家内も「お父さ
ん、ふざけるんじゃない、そんな名前のお菓子が売れるわけないでしょ。第
一、恥ずかしくて嫌だ」と。ほかの人も、反対するのもバカバカしいと。
福 確かに感性の問題ですね。と同時に私は、信念の問題だとも思います。信念
の裏づけのない小手先の差別化は通用しない、というのが私の考えです。マン
トヒヒやクジラは差別化にすらなっていない。ただの追随商法で、ランチェ
スター的にもNGですね。
私は「戦略バカ一代」を自称していますが、岡さんは「笑いバカ一代」です
ね。HPのドメインも“hanakuso”です。しかもドットJP。“鼻くそ”に
命をかけている。
岡 それは私にとっての最高のほめ言葉ですね。ありがとう。
▼弱者はニッチなチャネルに直販せよ▼
福 さて、それで商品化し、動物園への営業を開始されたわけですね。動物園の
売店に卸すというのは、ネーミングのときに思いつかれたのですか?
岡 そうです。それは、“鼻くそ”という言葉が出て30秒くらいで思いつきま
した。“ゴリラの鼻くそ”…動物園だ!お土産で売る、と。
福 なるほど。では、そのもっていき方ですが、失礼ながら地方の零細な菓子メ
ーカーは大手の下請けでOEM生産するとか、問屋経由で流通させているの
が一般的ですが、そういう方法は考えませんでしたか?
岡 大手の下請けや問屋頼りのやり方にする気はさらさらありませんでした。だ
って考えてみてください。下請けならうちの黒豆の薄甘納豆は100g=100円
程度。それも値段をつけるのは大手で下請けはそれに従うだけ。ところが、
付加価値のある自社ブランドなら100gが300円だろうが500円だろうが、価
格決定権はこちらにある。
問屋も考えませんでした。問屋頼りの零細メーカーは、実質的に問屋の下請
けみたいなものですよ。そんな商売はしたくなかった。
福 ランチェスターのチャネル戦略は、強者と違ったチャネルを狙え、というこ
ととともに「自ら売り切る力を持て」ということを説いています。つまりニ
ッチなチャネルに直販せよ、ということです。セオリー通りですね。
さて、それで自ら、動物園に営業に行かれたわけですが、どうでしたか。最
初の頃は?
岡 島根県には動物園がありませんので、隣県の広島県の動物園に、見本をもっ
て、はじめに行きました。この笑いには絶対的な自信はあったのですが、笑
いというものは極めて個人的な感性の世界です。たまたま出会った担当者の
感性がこれに合わなければ、それまで、です。だから、はじめは緊張しまし
たよ。私だって。
「あんた、バカか」と言われたらどうしよう。笑ってごまかすか、走って逃
げるしかないですね。
でも、やるからには中途半端はダメ。覚悟を決めて第一声「はじめまして。
“ゴリラの鼻くそ”です」とやりました。以来、営業の際、自分の本名すら
名乗ることはほとんどありません。もちろん、聞かれれば“岡”です、と言
いますが。
いまでは、私は動物園では「鼻くそ社長」で通っています。「鼻くそ社長か
ら電話ですよ」なんて声が、飛び交っている。
福 はい。さきほど名刺交換の時に思いました。岡さんのお名刺はイラスト入り
“ゴリラの鼻くそ”が表面で、それを見せながらお渡しになる。裏に、ちゃ
んと社名、お名前は入っていますが、本名すら名乗られませんでした。タダ
モノではないなというインパクトと、本気だなという迫力がありました。
それで、反応はいかがでしたか?
岡 福永先生の名刺もインパクトありますけど(笑)
反応は「これ、おもしろいね」でした。それから近県数ヶ所に連戦して連勝。
そして、ある担当者から「上野に持っていきな」とアドバイスを受けたので
す。「上野動物園」は動物園の中の動物園。観客動員数も格式もダントツな
存在だったのですね。
それで、電話しました。上野動物園に。
福 で、どうでした?反応は。
岡 断られました。あっさりと。
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さて、話はここから佳境に入るのですが、長くなりすぎます。
ここまでのところでも、ずいぶんヒントはあったのではなかろうかと思います。
特に事業転換するしかないところまで追い込まれているジリ貧の会社、下請けに甘んじて全く利益が出なくなっている中小零細製造業の方には。
起業や新規事業を考えている方にも。
営業パーソンにとっても、使命感をもった営業、営業活動のちょっとした差別化方法のヒントがあったはずです。
あっさりと本丸の上野動物園に断られた岡さん。
この後、どういう手を打つか。
この続きをどうぞ、お楽しみに!
投稿者 戦国マーケティング : 2004年9月21日