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身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜【“鼻くそ社長”インタビュー2】〜■■■
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先週火曜日の第38号に引き続き、黒豆の薄甘納豆“ゴリラの鼻くそ”を動物園
ルートで売りまくっている“鼻くそ社長”こと岡伊三郎商店(屋号=笑売堂)代
表取締役 岡和正さんのインタビューをお届けします。
⇒< http://www.hanakuso.jp >
前号のまとめ
1.新規事業を模索していたところ、身内が製造していた黒豆の薄甘納豆に付加
価値をつけて販売することを構想。“ゴリラの鼻くそ”と名づけることによ
って動物園の売店でお土産として売ることを思いつく。
背景には「笑い」をライフワークにし、笑いということに関する感性への絶
対的な自信がある。また、笑いと黒豆は健康のもと、という信念があった。
小手先のジョーク商品ではない凄みすらある。
2.多くの零細製造業者は大手の下請けか、問屋頼りの経営をしており、価格決
定権のない、苦しい経営をしているなか、自らブランドをつくり、ニッチな
販路に直販しようとした。
どんなに優れた商品も「売り方」がわからなければ売れない。売れない理由
をメーカーは商品に求める傾向が強いが、売り方の研究には取り組んでいな
い。発想ひとつでただの豆菓子がヒット商品となる。
3.商品に対する絶対的な自信に裏付けられた使命感をもった営業は強い。使命
感があれば、営業行為への心理的抵抗感はなくなり、営業行為そのものを差
別化できる。
そして、岡さんは近隣数ヶ所の動物園への直販セールスに成功し、動物園の本丸
上野動物園を落とそうと電話をしたところ、あっさりと断られた。なぜ、断られ
たのか?そして、そのあと、どうしたのか?
今号はここからスタートします。「ランチェスターな社長」奮戦記インタビュー
第2弾をお届けします。
▼まわりから攻める▼
福 断られたのですか?上野動物園に。
岡 断られました。あっさりと。その理由は「私の感性にはこの商品は合いませ
ん」それから「実績はありますか?」と。
笑いとは個人的な感性の問題なので、合わないといわれたら、それまでなの
です。理屈では説明のしようがないことですから。実績については、その時
点で、数ヶ所の動物園が置いてくれる約束をしてくれただけですから、実質
的に実績ゼロなのです。
でも、このショックは後に引きませんでした。すぐに頭を切り替え、外堀か
ら埋めていけ、地方から固めていけという発想になったのですね。地方でど
んどん実績を上げて、最後に本丸の上野に襲いかかろうと。
「ゴリラの鼻くそ日本列島縦断作戦」と名づけ、電話なんて横着をせず、自
ら全国行脚して一つ一つ制覇していきました。
福 全国の動物園の中でどのくらいの数を制覇できたのですか?
岡 全国には約100ヶ所の動物園があります。が、小さいものも含まれていま
すので、お土産品の販路として対象となるのは30ヶ所といってよいでしょ
う。“ゴリ鼻(略称)”はそのうち29ヶ所に納入しました。そのほとんど
の売店内での売上トップクラスに“ゴリ鼻”は入っています。
福 残すは本丸ただ一つですか。なるほど。ランチェスター地域戦略には、3点
攻略法というノウハウがあります。本当に落としたい地点を残し、その周り
から落としていく。最低3点を囲めば「面」が形成されます。そうして力を
蓄えて、最後に一挙に本丸を落とす方法です。
岡さんは3点ならぬ29点攻略法で戦っているのですね。
▼弱者の戦略に徹する▼
福 上野の本丸を残し、全国制覇をしたわけですが、その後、商品ラインや販路
を拡大させたのですね。
岡 はい。まず、商品ラインは“ゴリ鼻”のミニ、プチと小さなパッケージを出
しました。お土産で配るのにふさわしい可愛らしいサイズです。ストラップ
やボールペンのようなキャラクターグッズも。
次に販路をテーマパークや水族館に広げました。水族館用に“ラッコの鼻く
そ”という姉妹品も出しました。
福 今度はラッコですか。ちなみに中身は、もしかして同じ黒豆の薄甘納豆です
か?
岡 はい。まったく同じです(笑)
このほかの販路としては駄菓子屋さん、豆菓子専門店さんなどですか。あと、
コンビ二からも頼まれてやりましたが、うまくいきませんでした。
福 コンビ二?それはダメです。“ゴリ鼻”はそんな大きな販路で売ると、一時
は売れるかもしれませんが、すぐに飽きがきて過去のものとなりがちですよ。
かつての「たまごっち」のように。ワーッと盛り上がって、すぐに消えてし
まう一発屋になってしまう。ニッチのロングセラーでいくべきです。
岡 はい。実際、コンビ二のペースにこちら零細企業はついていけないのですね。
供給体制が追いつかない。だから欠品が出てしまう。そんな対応で振り回さ
れて、本当に大変でした。
福 弱者は生涯、弱者でいろとは申しません。いつか強者の戦略に切り替える時
期があるでしょう。でも、この商材で、この時期「弱者の戦略」から「強者
の戦略」に切り替えるべきではありません。
岡 はい。そこは私の人間臭いところなのですが、おかげさまで商売も順調で、
マスコミにもたびたび取り上げられていると、ついつい大風呂敷を広げたく
なるのですね。「弱者の戦略」ですか。なるほど、よくわかります。
問屋との付き合い方もそうですね。こちらは動物園直取引をしたいのですが
動物園側の事情で、どうしても問屋を経由してくれ、というところもあるの
です。問屋経由となると、たまにですが、変なところに定価でない価格で流
通してしまう。“ゴリ鼻”のブランドを守るためには、あってはならないこ
とです。
でも、“ゴリ鼻”には全国に“ゴリ鼻”ファンがいます。妙なところで妙な
値段で売られていたら、このファンの方が見つけてくださり、すぐにわかる
ような仕組みをもっているので、大事には到りませんが。
福 なるほど。ファンが抑止力となりブランドを守ってくれているのですね。す
ばらしい。全国の“ゴリ鼻”ファンは会社の財産ですね。
▼鼻くそコンサルタント誕生!?▼
福 さて、いよいよ核心に迫りますが、最後の本丸、上野動物園は落としたので
すか?それとも、まだ落としていないのですか?
岡 対外的には、まだ落としていないと言っています。ただ、実質的には、どう
なのかな。微妙ですね。
福 微妙?落としているような、落としていないような?そのココロは?
岡 福永先生、あなたはおもしろい。あなたと話していると、私のやったことす
べてを論理的に裏づけしてくれる。私には「笑い」という軸があるが、福永
先生には「勝ち負け」についての筋の通った軸がある。自分の感性を信じて
がむしゃらに走ってきたことが、話しているうちに整理されていく感じです。
あなたのメールマガジンがタダとはいえ、19,000人もの読者がいるのもわか
ります。
福永先生、あなたは今後、“ゴリ鼻”ブレーンとして私に協力してくれます
か。それならば、真実を語りましょう。ただし“鼻くそ社長”の私と付き合
うからには、あなたも“鼻くそコンサルタント”と世間から呼ばれるかもし
れませんよ。あなたに、その覚悟はありますか!!
福 鼻くそコンサルタント!?ブレーンになるだけで、そこまで色はつかないと
思いますが…。よいでしょう。私も「戦略バカ一代」。ここに戦略の真実が
あるというのに、避けて通るわけにはいきません。呼ばれないとは思います
が、万一、呼ばれても、その呼ばれ方を誇りに思いましょう。
ブレーンになることはウェルカムです。ですから教えてください。真実を。
岡 わかりました。話しましょう。話すからにはメルマガにも書いてもらってけ
っこうです。
正確には本丸は落としていません。でも、落としている以上の成果を挙げて
います。それは…
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いよいよ“鼻くそ社長”の核心に迫りますが、長くなりすぎます。
この続きは1週間後の来週火曜日発行号で掲載します。それで完結します。
なお金曜日号は「講座」です。
ここまでのところでも、ずいぶんヒントはあったのではなかろうかと思います。
弱者の成長戦略。まわりから攻める、商品ラインと販路拡大のツボなどが、生々しく語られました。
さらにこの後の話は圧巻です。戦略家とはこういう人のことをいうのだ、と思いました。
それを感性でやっていたのですね、岡さんは。
次回、完結編をどうぞ、お楽しみに!
投稿者 戦国マーケティング : 2004年9月28日