![]() |
ランチェスター戦略を伝道する福永雅文の公式サイト |
| 会社概要|お問合わせ |

身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
■ランチェスターで斬る〜大和の悲劇〜■■■
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
わが故郷・呉は明治以来の軍港であり、造船の町です。
海軍さんゆかりの「肉じゃが」発祥の地、戦後の混乱期に起きた抗争劇「仁義なき戦い」の舞台としても知られていますがなんといっても「戦艦大和」が建造された軍港として有名です。
「大和ミュージアム」の目玉は「戦艦大和」を縮尺10分の1で精密に再現したド迫力戦艦模型です。
これは一見の価値あり。
この冬、大和の映画も公開されるとのことで広島県尾道市では原寸大セットが一般公開されています。
⇒ http://www.yamato-movie.jp/index.htm
呉と尾道をまわる旅行ツアーが人気のようで全国からお客さんが集まり、大変な賑わいでした。
大和つながりで「宇宙戦艦・大和」の松本零士さんも名誉館長をつとめ、そのコーナーもあり。
イスカンダルのお姫様も、あいかわらず色っぽかったです。
それはさておき、戦艦大和は当時の国家予算の3%の建造費をかけて呉でつくられた海軍の象徴でしたが、実戦では活躍できずに、乗組員3千人とともに海の藻屑と消えました。
大和の悲劇はなぜ、起きたのか。
戦争の是非は問わず、純粋に戦略論で考えてみたいと思います。
▼大鑑巨砲主義▼
戦前の海軍のドクトリン(教条、戦い方のコンセプトのこと)を「大鑑巨砲主義」といいます。
これは「近代戦は戦艦同士の決戦で勝敗が決する。
ゆえに最大の射程距離の大砲を備え、沈みにくい大艦で戦えば勝てる」ということ。
当時の海軍の仮想敵国はアメリカです。
そのアメリカはパナマ運河の航行の都合上、40センチの主砲を搭載できる大きさが限界でした。
それならば、日本は46センチ主砲で、となったわけです。
射程距離4万メートル。
東京から撃つと横須賀の先まで届ききます。
さらに大和には造船技術の粋を集めた注排水システムがあり「不沈艦」ともいわれました。
このドクトリンは日露戦争の日本海海戦の成功体験から導きだされたものです。
「敵を上回る射程距離の大砲を備えた大鑑で戦えば、きっと勝てる」ことを必勝パターンとしていました。
というのも、当時の軍事常識では「戦闘機は戦艦を攻撃しても沈めることはできない」だったからです。
しかし、それを信じて疑わなかったはずの日本は空母に戦闘機を積んで敵に迫り、戦闘機で敵戦艦を攻撃する方法で真珠湾攻撃を行い、戦術的な大勝利を得ました。
大鑑巨砲主義を、自らが否定してみせたのです。
日露戦争は、戦闘機も潜水艦もない2次元の戦いでしたが、第二次世界大戦は、戦闘機も潜水艦もある3次元の戦いの時代なのです。
戦闘機や潜水艦の技術革新は日進月歩。
昨日はできないとされていたことが今日にはできるようになったのです。
だったら、ドクトリンを「機動空母3次元主義」などに変えればよかったものですが、巨額の国費を費やして完成した大和が役に立たないことを認めたくなかった人がいたのでしょうか。
大鑑巨砲主義を捨て去れなかったのです。
逆に、真珠湾で攻撃を受けたアメリカはそれに気づき、空母と戦闘機の増産に精力を傾け、空母主体の艦隊編成と戦法に切り替えました。
眠れる大鷲は目覚め、アメリカは圧勝しました。
大和を作っているうちに戦い方は変わったのです。
できた頃には「大鑑巨砲主義」は時代遅れのドクトリンとなり大和の活躍の場はなくなってしまっていたのです。
大和の最後は「統帥の外道」といわれる沖縄戦への片道の燃料での体当たり特攻。
敵航空機の攻撃により沖縄にたどり着くことすらできず、徳之島西方に3000名の乗組員とともに、今も眠っているのです。
▼勝者の敗因!?▼
昔から「勝者敗因を秘め、敗者勝因を蔵す」といいます。
過去の成功体験は、必ずしも今日の勝利に結びつかない、それどころか、かえって弊害となる場合が多い。
逆に、過去の失敗体験から、学ぶべきことが多い、ということです。
日露戦争から40年、同じ勝ちパターンが通用すると考えるほうがどうかしちゃっている、と思えてなりません。
ビジネスにおいても、たとえばIT化、情報化、国際化・・・
取り巻く環境はもちろん、敵と味方の武器や力関係は日々、刻々と変化しています。
「戦いとは敵と味方の力関係で勝敗が決まる動的なもの」
これが原理です。
勝ち方には原則がありますが、それを静的なものとして金科玉条のドクトリンとしてはなりません。
実戦の手法は日々バージョンアップされているのですから。
戦略は「静的=スタティック」に考えるものではなく「動的=ダイナミック」に捉えることが大切です。
福永も、ランチェスター戦略の原理原則を伝道しているだけに大和を見て次のことを再確認しました。
「原理原則の普遍性と、実戦手法は日々バージョンアップされていること」
久々の帰省でリフレッシュ! 原点回帰できたようです。
投稿者 戦国マーケティング : 2005年10月 5日