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経営戦略のバイブル

第103号 『誌上セミナー〜ランチェスター戦略とは〜』

身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■誌上セミナー〜ランチェスター戦略入門〜【ランチェスター戦略とは】■■■
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▼ランチェスター戦略の経緯▼


勝ち方には原理原則があります。
実戦の手法は日進月歩ですが、原理原則は普遍の真理ですから変わりません。
2500年前の「孫子」の兵法の時代から現代の「孫氏(ソフトバンク)」まで変わらないと福永は申し上げています。

この勝ち方の原理原則を、企業間の販売競争において理論化し実戦の体系としたものが「ランチェスター戦略」です。


その原点は英国人の航空工学エンジニアF.W.ランチェスター(1868年〜1946年)です。
第一次世界大戦の頃、F.W.ランチェスターは戦闘機の開発に従事していました。
彼は自分が開発した戦闘機が実戦において、どのように活躍しているかに興味を持ち、空中戦はもちろん、古今東西のさまざまな戦争の資料を集め、数学的・統計的に分析していきます。

そして、攻撃力が敵と味方の兵力数や武器性能によって定まる法則性があることを発見します。
これが「ランチェスター法則」です。2つあります。


その後、第二次世界大戦のとき、米国政府は「戦争において、最小の損害で最大の成果を得るためには、いかに戦うべきなのか」このことを学者を徴用して研究させます。
コロンビア大学の数学学者B.O.クープマンらです。

このときクープマンらは「ランチェスター法則」にヒントを得て戦略2:戦術1の原則を導き出す「ランチェスター戦略方程式」を考案します。
そして、この理論は実戦に使われ、多大な成果を得ました。


これらの軍事的な作戦研究はオペレーションズ・リサーチ(OR)といわれ、戦後、産業界へと普及していきます。

日本に伝わった後、コンサルタントの故・田岡信夫先生(1927〜1984)が企業間の販売競争において理論化し、実戦の体系としました。
1970年代半ば、日本はオイルショックにより長期的な大不況に見舞われましたが、多くの企業がこれを学び、勝ち残っていったのです。
トヨタも、松下も、イトーヨーカドーも。

また、日系のコンサルタントは多かれ少なかれ、故・田岡先生の影響を受けているといわれます。
ランチェスター戦略は戦略理論、経営手法の原理原則ですから。

ランチェスター戦略が「ビジネス戦略のバイブル」といわれるゆえんです。


その後、故・田岡先生の遺志を受け継ぐNPOランチェスター協会が中心となってランチェスター戦略の研究・普及・教育・指導・実戦活動が行われています。
福永は同協会で学び、現在は理事として、また公認企業として活動しています。

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▼ランチェスター戦略の特徴1〜弱者と強者〜▼


F・W・ランチェスターが発見した2つの法則とは、狭い範囲で、刀のような一対一で戦うような武器を使い、敵と接近して戦う場合に適用される「ランチェスター第一法則」と、広い範囲で、機関銃のような複数対複数で戦うような武器を使い、敵と離れて戦う場合に適用される「ランチェスター第二法則」です。

第一法則から「弱者の戦略」が導き出され、第二法則からは「強者の戦略」が導き出さます。

ランチェスター戦略が定義する「弱者」「強者」は、日常会話で使われるものとは意味が異なります。
強者とは、その競合局面においてシェア1位の企業のみを指します。
弱者とは、それ以外のすべてのプレイヤーです。

すなわち、企業の規模ではない。

また、競合局面ごとに立場は異なるということ。
大企業にも弱者は多く、逆に、小さな企業であろうとも、強者の立場に立つ場合もあります。

大切なことは、競合局面ごとに、判断することと、弱者と強者では、戦い方、勝ちパターン、すなわち戦略が異なること。


弱者の基本戦略は「差別化」です。
弱者は強者のマネをして勝ったためしはありません。
決して強者の追随をしてはならないのです。

逆に、強者は弱者の差別化を封じ込める必要があります。
よって、強者の基本戦略は「ミート」です。

このように弱者と強者の戦い方を提示していることが、ランチェスター戦略の特徴です。


▼ランチェスター戦略の特徴2〜占拠率の科学〜▼


B・O・クープマンらが構築した「ランチェスター戦略方程式」はORとなり、日本において故・田岡先生らによって、マーケット・シェア理論として体系化されました。

シェアは何%とればよいのか、とるとどうなるのか、敵との差はどこまでつけると安全圏といえるのか、シェアというものは、どのように推移していくものなのか、ということが、明確に定義されました。

シェアのシンボル数値で、最も有名なものは41.7%(おおざっぱに42%または40%としてもよい)です。
世にいう、40%はシェアの天王山、二百三高地とは、このこと。

自動車業界もビール業界も、多くの業界が、ここを目指して激しく戦っています。
41.7%をはじめ、ランチェスター戦略ではシンボル数値を7つ定義しています。

敵との差は客内シェアのような局地戦の場合は3倍、そのほかの広域戦の場合は√3倍(≒1.7倍)をつけると安全圏となります。
これを3:1(サンイチ)の法則、または射程距離理論といいます。


▼ランチェスター戦略の特徴3〜No.1主義〜▼


以上を踏まえたランチェスター戦略の結論は、次の3つに集約されます。
まず、「一点集中主義」。
あれこれやらずに、自らの勝ちが見込める領域に経営資源を集中すること。
もちろん、弱者は「差別化」して戦う。

次に「『足下の敵』攻撃の原則」。
これは、競合局面において、敵を狙い撃ちする原則です。
攻撃すべきは、自社よりも1ランクシェアが低い「足下の敵」。
その攻撃方法は「ミート」です。

なお、自社より1ランク上の敵とは全面対決を避け「差別化」し、死角、盲点をつきます。

そして、最後の結論は「No.1主義」です。
ランチェスター戦略が、その結論の中の結論として定義しているNo.1は、特別な意味を持ちます。 単なる1位ではありません。

1位でかつ、2位を射程距離圏外(局地戦の場合は3倍、広域戦の場合は√3倍)に引き離しているダントツの1位のこと。

No.1のみが、その地位が安定し、利益性が高まります。
よって、企業はNo.1を目指さなければなりません。

特に弱者は、自分のビジネスの領域を細分化し、勝ちやすい部分を選択し、そこに「一点集中」し、部分的なダントツの1位=No.1を作ること。
これがランチェスター戦略の結論です。



投稿者 戦国マーケティング : 2005年11月 2日