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経営戦略のバイブル

第123号【鶏口牛後】

身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜鶏口牛後■■■
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▼鶏口牛後な人生▼



鶏口牛後(けいこうぎゅうご、鶏口となるも牛後となるなかれ)。

このあまりのも有名なことわざに解説は不要かと思いますが、意味は 「小さい集団であってもその中で長となる方が、大きな集団の中で尻に付き従う者となるよりも良い」です。

寄らば大樹の影ではなく、小さくとも一国一城の主を目指そうという 意味で起業を志す人が好む言葉でしょう。


お父上から教わったこの言葉を人生訓として、女性初の航空会社社長 になった株式会社エアトランセ江村林香社長のご著書を読みました。

「まずは小さな世界で一番になる〜そこから人生は変わりはじめる〜」
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4761263199/sengoku-22/ref=nosim


江村さんの鶏口牛後的な生き方は本当に徹底しています。


1)偏差値の低い高校に進学し、成績一番になる。

中学時代は平凡な成績で地味でマイナス思考だったが、優等生となったことで人生が華やかになる。このとき鶏口牛後人生に目覚める。


2)街のラーメン屋でアルバイトして時給1700円に。

マクドナルドでは頑張ってもなかなか時給は上がらない。小さな店なら時給をあげる工夫のしようがある。無遅刻・無欠勤・無早退だけでも時給があがり400円で始まった時給も辞めるときは1700円に。

  
3)偏差値40以下の子供に限定した家庭教師で月60万円。

短大に進学し、効率の良い家庭教師をしようとしたが短大生には家庭教師の引合いがない。だったら偏差値40以下の子供に対象を絞ろうと。有名大学の学生にはわからない出来の悪い子の指導で成功。


4)従業員2名の会社に就職し、26歳で取締役に。

江村さんの頃はバブル真っ盛りで上場会社にも簡単に入れた時代。しかし、そんな牛後は避け、ハローワークで就職先を探す。従業員2名の会社に就職したので、入社時点で既にナンバー3 (!?)その会社は急成長し、自身も26歳で取締役に。20代でグループ会社の社長や、取締役を兼任。


こう並べると、レベルの低いところで威張っている「お山の大将」的 な、あるいは「井の中の蛙」的な印象を持たれたかもしれませんね。しかし江村さんは、「上見て暮らすな、下見て暮らせ」的な「縮み志向」ではなく「拡大志向」です。志は高いのです。志を遂げるためのシナリオの違 いです。

その証拠に江村さんは、その間、結婚し、子供も育てるという私生活 も充実。そして34歳で女性としては日本初の航空会社の社長になったのです。 しかも、雇われ社長ではなく、オーナー社長です。


○勝ちやすい(狭くて競争の緩やかな)土俵を選ぶ
    ↓
○勝ちやすいので勝てる=一番になれる
    ↓
○ほめられるので自信がつく=勝ち味を味わう
    ↓
○続けて勝とうとして、やる気も起き、創意工夫もする
    ↓
○結果が伴う=続けて勝つ=勝ち癖がつく
    ↓
○常勝できる好循環のスパイラル


勝ち味が、勝ち癖となり、各個撃破で弱者逆転を果たしたのです。これを福永は「勝ち癖の法則」と呼んでいます。


▼鶏口牛後な経営▼


鶏口牛後を人生訓とした江村さんは、同時に鶏口牛後を経営訓にもしていると思われます。

それは「牛」のような大きな市場での戦いを避けて「鶏」のような小さな市場を自らの事業ドメインに設定しその小さな市場で一番となることにより自社の存在価値を築くやり方 です。

これすなわち、ランチェスター戦略が説く弱者逆転の法則そのもの。「弱者は小さな市場で大きなシェアを!」です。


実際に江村さんが立ち上げた事業はスーパーニッチャーです。


○大きな海外旅行市場ではなく、国内旅行の観光タクシーの手配という小さな市場で一番になる


○人材派遣業という大きな市場ではなく、演奏家・音楽家派遣という専門分野に特化した小さな市場で一番に なる


○羽田線という大きな航空市場ではなく、地域限定、ローカル⇔ローカル線のエアバスという小さな市場で一 番になる


鶏口牛後という言葉を人生訓としてのみ用いるのはもったいない話です。 鶏と牛を市場と捉えれば、ランチェスター弱者逆転そのものですね。


投稿者 戦国マーケティング : 2006年3月30日