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身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る 弱者は涙ぐましい ■■■
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▼恥も外聞もない▼
KO勝ちしたらリング上で歌を唄うはずだったのに歌えなかったボクシングの亀田三兄弟の次男坊・・・というニュースを目にして、あるボクサーのことを思い出しました。
輪島功一。
70年代に世界チャンピオンになり、6度防衛、2度のリターンマッチにも勝利。30歳を過ぎても頑張った遅咲きの苦労人。
ボクシングのリング上で歌を唄った元祖は確か、輪島だったことを思い出しました。
彼こそが弱者の戦略の典型である「奇襲戦法、ゲリラ戦法=陽動戦」で自分よりも強い相手をマットに沈めた「弱者逆転男」の典型ではないでしょうか。
輪島の奇襲の創意工夫は、恥も外聞もない。ただ、ひたすら勝つことだけを追求した涙ぐましいまでもの努力です。滑稽ですらある「輪島伝説」を振り返ってみましょう。
▼奇策3連発▼
輪島の代名詞的な必殺技は「カエル飛びパンチ」です。この技は相手の視界から消えるべく、ソンキョの姿勢くらいまでかがんでカエルのようにジャンプしながら、アッパーパンチを喰らわすというもの。
一瞬で視界から消えるので相手が防御できないのです。この奇襲戦法で、輪島は世界チャンピオンになりました。
しかし、カエル飛びパンチが有名になると、さすがに相手も研究します。輪島が視界から消えたら、かがんでいるので、上からパンチを振り下ろせばいいのです。難なくダメージを与えることができます。
こうして、カエル飛びパンチは見破られ、輪島は防衛戦に失敗します。
輪島はチャンピオンに返り咲くべく、次なる奇策を考えます。それは「あっち向いてホイ作戦」です。
試合中、輪島はあらぬ方向に視線をそらします。そうすると相手の視線は、それにつられて動きます。輪島は、あらぬ方向を見ながら、パンチだけは相手の顔面をとらえるのです。
視線がそれているので、相手は防御ができません。この滑稽すぎる、でも心理学的には理にかなった奇襲戦法で輪島はチャンピオンに返り咲くのです。
しかし、これも何度も使える手ではありません。輪島が視線をずらせたら、相手はパンチを放てばいいのです。
こうして、あっち向いてホイ作戦は見破られ、輪島は2度目の王座陥落です。
ここで諦めないのが不屈の男・輪島です。最後の奇策は「風邪引き作戦」。
試合前日の記者会見で輪島は大きなマスクをして登場。会見中もゴホゴホと咳き込み、いかにも風邪を引いたという雰囲気。試合当日のスポーツ各紙は「輪島、調整に失敗か」と書き立てる。
試合になっても、相手のパンチがかする程度で、わざと顔をゆがめます。
もちろん、これは相手の油断を誘う演技です。こうして、いつの間にか相手を自分のペースに引きずりこんで最終ラウンドでKO。
輪島は32歳にして3度目の王座となったのです。
▼秘すれば花▼
ランチェスター弱者の基本戦略は差別化。その5大戦法の一つに陽動戦があります。奇襲、奇策、ゲリラです。
ただし、ビジネスはルールのある戦いですし、社会性が問われます。また、ビジネスは瞬間的な勝負ではなく、持続的な戦いです。瞬間的な勝利のために手段を選ぶな、と主張しているわけではありません。
ビジネスの場合は姑息な小手先はかえって命取りです。
本稿で言いたいことは、弱者は正攻法だけでは勝てないということです。陽動戦を考える発想法として輪島が参考になると申し上げています。念のため。
輪島の奇策3連発を見てもわかるように陽動作戦とは「敵が気づかないところから、気づかないときに、気づかない方法で攻めること」です。
手の内がバレたら、はい、それまでよ。情報の秘匿が肝心です。
戦略は秘すれば花。
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