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経営戦略のバイブル

第138号【HIS大逆転】

身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜HIS大逆転〜■■■
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▼澤田秀雄さんの戦略学習法▼



先日、2005年度(05年4月〜06年3月)の海外旅行取扱い人数が旅行会社別に発表されましたが、ついにHISが業界1位に踊り出ました。
長年、首位に君臨したJTBが陥落したのです。弱者大逆転です。

といいましても「旅行会社単体」の「海外」の「取扱い人数」でして、もちろん金額ベースではJTBが圧倒的に強いです。
総合的な業界首位は今もJTBグループです。

ですが、それにしても横綱とふんどし担ぎ以上の差のあったものが部分的とはいえ逆転したことは革命的な出来事です。


このHISは1980年に新宿西口の雑居ビルの8坪の事務所で澤田秀雄さんと奥さんと知人1名の3名で始めた会社です。
バッグパッカーであった経験を活かして海外航空券を格安で販売する事業です。
旅行業といっても航空券のみを取り扱っているわけですからチケット屋(金券屋)さんといったほうがよいような状況です。

起業した頃、さっぱり暇だったそうで、澤田さんはパチンコばかりしていたそうな。
そして、そのパーラーは景品で本が手に入ったとのことで、山岡荘八の徳川家康やら司馬遼太郎の項羽と劉邦などを取ってきては暇な事務所で読み漁っていたという。
田岡先生のランチェスター戦略もブームでしたから、読破しました。

こうして澤田さんは戦略・戦術を学んだのです。
冗談のようですが、福永が直接、ご本人から聞いた話ですので間違いありません。
福永もかつて同じような経験がありますから、とても共感がもてます(苦笑)


▼澤田さんのシェア理論▼



こうしてHISは格安航空券販売という旅行業界のニッチャーとして成長していきます。会社の規模が大きくなると意欲ある若者が入社してきます。
そして優秀な彼らはこう言ったそうです。

「社長、どうしてうちではパッケージツアーをやらないのですか。HISと同じレベルの会社がどんどんパッケージツアーを始めています」と。

しかし、澤田さんは動きませんでした。

弱者は部分的な1位でかつ2位をダントツに引き離したナンバーワンになるまでは手を広げてはならない、というランチェスター戦略理論をマスターしていたからです。


澤田さんはご著書「思う、動く、叶う!(サンマーク出版)」で
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4763192698/sengoku-22/ref=nosim
こう書かれています(113〜114ページ)

> ・・・市場におけるNo.1は単にNo.2の上という序列以上に、
> 決定的な立場を築くことができるというものである。

> なぜなら、市場のトップシェアを占めることにより、仕入れ、
> 販売に対する市場決定権の優位が保てるのである。
> それは自分の力の2倍、3倍もの力を発揮
> できることであり、一気にNo.2を引き離すことにもつながるのだ。

> その黄金の数字は、
> ランチェスター戦略によると26%と42%だといわれている。
> この2つの数字が、企業戦略の境目なのだ。・・・(中略)・・・

> ・・・事業にはシェアという資源がいかに大切かがわかる。
> だから私は待ったのである。
> 「格安航空券販売の分野でH.I.S.が業界のNo.1になること。
> それまではパッケージツアーという他分野の商品開発にはブレーキをかけよう」


▼泣いて馬謖を斬る一点集中▼



旅行企画をやりたいという前向きで優秀な社員の中にはこの澤田社長のランチェスター式の戦略が理解できずに、辞めていった人もいたとも聞きました。

「泣いて馬謖を斬る」ような苦渋の決断だったようです。

この考え方を「一点集中主義」といいます。


その後、HISは格安航空券販売の分野でダントツの1位(=ランチェスター戦略が定義するナンバーワン)になり、その収益を原資にパッケージツアーの分野に進出。


そして05年、送客ベースでついにJTBを逆転。
売上ベースでも√3の射程距離圏内に追いつきます。
ガリバーだったJTBとの2強時代に突入したのです。


投稿者 戦国マーケティング : 2006年7月19日