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経営戦略のバイブル

第153号【世界遺産を斬る】

身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
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■ランチェスターで斬る〜世界遺産を斬る■■■
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▼仲間でありライバルでもある▼



五箇山と白川郷。

この二つの地域がセットで世界遺産に登録されました。95年のことです。
登録後、両地域とも観光客が急増しました。

ですが、登録から既に10年超。
熊野に知床、と毎年のように新たな登録地もできており、
このところは、観光客数も頭打ち。

五箇山と白川郷は相乗効果で観光客を呼んでいる仲間ではありますが、五箇山か、白川郷、どちらかを観光すれば充分、という人も多いでしょう。
両方行くにしても、地元にお金を落とすという意味ではメリハリがつくのが現実。

五箇山と白川郷は仲間であり、ライバルでもあるのです。

観光客が増えている「成長期」はともに市場を拡大していく仲間の側面が強く「仲良くケンカしな!」のトムとジェリー的な関係でいられますが。

誠に言いにくいことですが、理論上は観光客が頭打ちの「成熟期」では、こちらが浮かべば、あちらが沈むという食うか、食われるかのシビアなライバルの側面が強くなるのです。


そして、どちらかというと、白川郷のほうが優勢で五箇山のほうが劣勢であるのが現状です。

福永の“判官びいき”の血が騒ぎます。
一宿一飯の恩返しを考えました。


▼同盟軍で戦え▼


なぜ、白川郷が優勢なのか、それは飛騨高山とのセット観光客が多いことにほかなりません。

実は福永も世界遺産登録前に、高山観光のついでに白川郷に行ったことがあります。
そして五箇山までは足を伸ばしませんでした(申し訳ない!)
高山も見どころが豊富で、合掌集落は一つ見れば充分だと思ったからです。

白川郷は岐阜県であり、高山の奥地、という位置づけなのです。


それに対して五箇山は富山県です。
富山で高山クラスの観光パワーがある地域は「立山」くらいか。
五箇山とは同じ県ではありますが、真反対の位置し、セットは難しい。

「八尾(やつお)の風の盆」のパワーはものすごいが、そのとき以外は高山クラスとはいえません
(私も一度行きました。これもシビレます。一度は行くべき)
富山市もいいところですが、観光パワー的にはイマイチ。

それで五箇山は高山・白川郷連合軍の後塵を拝しているわけです。
(でも、そのお陰で観光地化が遅れ、より魅力的になっているのです)


五箇山に高山クラスのパートナーさえいれば、なんとかなるのではないでしょうか。


そのパートナーは加賀百万石の「金沢」です。
県が違うのでピンと来ないかもしれませんが、地図を見ればわかります。
その移動時間は「高山→白川郷」とほとんど変わりません。

そして金沢とのセットであれば「小松空港」が使えます。
空港のない不便な高山に比べて大きなアドバンテージがあります。

もちろん、今でも「金沢・五箇山セット旅行」はあります。
確かにありますが「高山・白川郷セット旅行」に比べると、まだまだ少ない。

その証拠にヤフーで「金沢 五箇山」と検索するとわずか17,700ヒット。
「高山 白川郷」では174,000ヒット。10倍の開きがあります。
開拓・開発の余地あり。


▼「国」や「藩」の区分で地域を攻略せよ▼


事実、五箇山の役所関係の人は別にすると、富山に行く用事は少なく金沢に行くことが多いとのこと。と、居酒屋のご主人もいっていました。

五箇山はそもそも加賀藩です。
「塩硝街道」という弾薬の原料を運ぶ秘密街道で金沢城下とつながっていました。
五箇山は「奥加賀」と呼んでも差し支えない地域なのです。

富山は富山藩です。前田家の分家ではありますが、藩が違います。
本家が分家から搾り取った歴史があるようで、富山の人は前田へのロイヤリティが低いです。前田利家のライバルだった佐々成政を英雄視する風潮があることがその証拠。五箇山とは元々、縁遠いのです。

高岡は加賀藩本家です。前田利家の息子の利長ゆかりの地で、渋い街ではありますが、地盤沈下している様子。
五箇山のパートナーにはちと無理がありますね。

やはり金沢しかありません。五箇山のパートナーは。


★今回は観光という観点で地域を斬りましたが、地域攻略という観点でも、都道府県の区分にとらわれず「国(越中の国など奈良律令体制下で作られた六十六ヶ国)」や「藩(前田藩など江戸幕藩体制下で作られた約三百藩)」の区分でとらえたほうがよい地域がたくさんあります。
そのことはまた、今度。


投稿者 戦国マーケティング : 2006年11月 8日