|
身近な話題から勝ち方の原理原則を考えるコラム
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
■ランチェスターで斬る〜後発弱者の生きる道■■■
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
▼ナンバーワンだった女王JJ▼
雑誌Cancam(キャンキャン)が、いつの間にかコンサバ系ファッション雑誌の女王JJ(ジェイジェイ)を抜いて圧倒的な1位になっています。
●女性コンサバ系ファッション誌 発行部数ランキング
1位 Cancam 626,250部
2位 Vivi 467,917部
3位 JJ 434,375部
4位 Ray 246,059部
(日本雑誌協会発表の印刷証明つき発行部数05年9/1〜06年8/31の平均)
JJは2位どころか、僅差ではありますが3位に陥落しているではないですか!
この女性コンサバ系ファッション誌のマーケットはJJが作り、リードしてきたのです。
ランチェスター的にいうなら「先発強者」です。
他誌ははっきりいってコバンザメ的に追随してきた「後発弱者」です。
かつては、その差は歴然としていました。
JJが50万部超。Cancam、Viviが30万部弱、という状態が長く続いていたと記憶しています。
これ、すなわち逆転が困難とされるランチェスター射程距離理論の√3倍差。
2位に√3倍差をつけた1位をナンバーワンと呼びますのでJJはコンサバ系ナンバーワン雑誌として君臨してきたのです。
そして次々と姉妹誌を創刊。
10代後半 bis
20代前半 JJ
20代後半 CLASSY
30代 VERY(流行語“シロガネーゼ”生みの親)
40代 STORY
まさに、ゆりかごから墓場まで。
強者の戦略の典型であるコンサバ系ファッション誌の「フルライン戦略」です。
▼本音で差別化▼
75年に創刊し、新たなマーケットを築いたJJ。
81年にCancam、83年にViviが追随し創刊。
マーケット規模が拡大する成長期を迎えました。
Cancam、ViviはひたすらJJを模倣してきました。
「JJと間違えて買ってもらえたらラッキー!」くらいのことは思っていたと思いますよ。
成長期は、後発弱者が追随してもよい時期です。
勝てはしませんが、オコボレにあずかれますから。
その後、バブルがはじける、ネットなどメディアが多様化する、携帯電話などお小遣いの使い道も増える、そんな「成熟期」が到来します。
成熟期に、弱者が強者のマネをしてもオコボレにあずかれません。
CancamはJJへの差別化を意識し始めます。
JJは女王として君臨し、コンサバ系の権威となっていました。
「お嬢様」「上質」をコンセプトにしたブランドです。
独自の世界観を持ち、排他的で、敷居を高くすることがブランド価値を高めます。
読者が生徒で、雑誌が先生、といえばわかりやすいでしょうか。
そこにJJのつけいる隙があったのです。
「お嬢様」だ「上質」だっていうけれど、コンサバというファッションはそもそも「男うけ」を狙ったもので、要するに「モテ」たいからそういうファッションをしているんでしょ。
お高くとまっているJJが建前ならCancamは本音でいこう。
JJがおしゃれの先生なら、Cancamは半歩先をいくチョイ悪な先輩。
こうして「めちゃモテ」という、みもふたもないコンセプトが打ち出されるのです。
▼雑誌の興亡は弱者逆転の歴史▼
考えてみれば、雑誌の興亡は「先発強者」が権威になりすぎて「後発弱者」がみもふたもない生々しいやり方で弱者逆転していく歴史です。
●「平凡パンチ」はパイオニアでグラビアが売りだったが、若者文化の代名詞のようにいわれるようになって権威化した。
そのとき「プレイボーイ」はグラビアと車とギャンブルというみもふたもない若い男の欲望に忠実な(!?)誌面づくりをして、弱者逆転を果たした。パンチは廃刊。
●「FOCUS」はパパラッチ誌のパイオニアだったが、パパラッチ的な要素にヌードグラビアを付加した「FRIDAY」に弱者逆転され、廃刊。
今は「FLASH」がより過激にグラビアをやっており、電車では読めないような雑誌だが、「FRIDAY」の牙城に迫りつつある。
瞬間風速的には「FLASH」が勝つこともある状況。
●「POPEYE」はパイオニアで、ファッションを核とした男性若者ライフスタイルのバイブルのように権威化した。
そのとき「HOTDOG」は、おしゃれ初心者の田舎もの(失礼!)を対象に今回のCancam同様に、みもふたもない「モテ」のコンセプトでやがて「POPEYE」を廃刊に追い込んだ。
今から26〜7年前。福永はヤンキーが標準ファッション(!?)
の田舎の高校生でした(“仁義なき戦い”の舞台であった広島県呉市)
それはどうも、うちの田舎だけなのではないかと気づいてファッション誌を見始めたのですが、ポパイは初心者の福永には敷居が高すぎて、立ち読みだけでした。
実際に買ってじっくり研究していたのはホットドッグでした(恥)
▼後発弱者の生きる道▼
Cancamに話を戻そう。
Cancam大逆転は専属モデルとくに、エビちゃんこと蝦原友里の存在が大きいといわれています。エビちゃんが雑誌で身に着けたものは即刻完売する「エビ売れ」現象まで巻き起こしているカリスマ。
Cancam事体がエビ売れしてJJを圧倒したともいえますね。
この現象をどう見るのか。
JJも賀来千賀子の昔からモデルを起用し続けていますが、昔からJJのモデルの売りは「読者モデル」です。
そしてJJの読者モデルに出ることが読者のステイタスになりJJに登場できるように読者たちは競ったものでした。
この正のスパイラルが女王JJ最強の方程式だったのです。
そんななかから「名古屋嬢」「シロガネーゼ」「アシャレーヌ」などのご当地お嬢様・若奥様の流行語が生まれていきました。
それにJJ自体が権威でブランドですから、何かのキャラクターに頼る必要もなければ、生身のモデルを打ち出し過ぎるリスクを嫌います。
一方、Cancamも読者モデルを登場させていますが、JJのような権威性はありません。
弱者だから伝統的に「プロモデル」に力を入れてきました。
藤原紀香、長谷川理恵、伊東美咲、長谷川京子、米倉涼子・・・が歴代務めてきました。錚々たるメンバーですね。女優の登竜門なのです。
モデル人気にあやかるリスクをとって、代々打ち出しし続けた結果、空前のエビちゃんブームを呼び込んだのです。
▼権威に死角あり▼
☆今回はCancamを例に後発弱者の逆転戦略を語りました。
後発弱者は、成長期は先発強者に追随していれば、逆転はできませんが、それなりに成長することができます。
しかし、成熟期に入ったら強者と差別化しなければサバイバルできません。
差別化の手法は様ざまですが、Cancamのやり方は参考になりますね。
強者は権威化するので、第一に「初心者」には敷居が高くなっているケースあり。
敷居を下げる初心者向けのわかりやすさ、気軽さを打ち出す。
本音心(ほんねごころ)を刺激する。
第二に権威だから嫌いという「アンチ強者」アマノジャクが生まれるので、ここを狙う。福永のような弱者の肩入れする「判官びいき」がいるものです。
第三に権威だから挑戦するリスクを気にして守りに入ります。
その点、弱者は守るべき権威はなく、失うものが少ないのでチャレンジできます。
権威に死角あり。
|