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    第180号【たまごかけごはん仕掛け人に聞く】
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第180号━2007/06/13━━━
        ランチェスター戦略『一点突破の法則』       32,843部
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     ランチェスター戦略コンサルタント 福永雅文 発行

(1)ランチェスターで斬る・・・「たまごかけごはん仕掛け人に聞く」
(2)お知らせ
(3)お奨め情報
(4)近況報告・・・島根県が生んだ珍品仕掛け人2大巨頭の激突

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弱者逆転を使命とし、一点突破のマーケティングである
「ランチェスター戦略」を伝道しているコンサルタントの福永雅文です。


管理がずさんで、年金をくいものにしたと云われても仕方のない「年金問題」。
介護をくいものにしたと云われても仕方のない「コムスン問題」。
親方日の丸体質の典型と、親方のいい加減さを巧みについた詐欺です。

本当に腹立たしいことです。
同時にそんな世の中にした大人の一人として子供たちに恥ずかしいですよ。


さて、そんな世の中にあって、第3セクターなのに、親方日の丸体質ではなく
税金の投入もなく利益をあげて、納税し、地域の雇用を確保し、
株主である行政に配当までしている、素晴らしい会社があります。

拙著第2作でも事例紹介した「たまごかけごはん専用醤油『おたまはん』」を
発売し、大ブームを巻き起こした株式会社吉田ふるさと村
(島根県雲南市吉田)です。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4534042027/sengoku-22/ref=nosim
(同書73ページ参照)

この仕掛け人である同社専務取締役・高岡祐司さんにお話を聴くことができました。

今回コラムには、そのことを書きます。
社保庁やコムスンの経営者にも、ぜひ、読んでもらいたいと思います。
なお、文責はすべて私(福永)にあります。

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(1)ランチェスターで斬る ■たまごかけごはん仕掛け人に聞く■
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          村を守るために村民が立ち上がった
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・たまごかけごはん専用醤油を年間50万本販売
 (これが生産量の限界。最長4ヶ月待ちというときもあった)

・人口2千人強の村で60名以上の雇用を確保する村最大級の企業

・株主(地域住民・地場企業・役所)に2%配当する優良企業

・地域振興で総務大臣賞を受賞した村おこしの成功事例


・・・という今をときめく株式会社吉田ふるさと村も、
1985年の創業の頃はつつましやかなものです。
村役場の物置きを間借りし、専従者わずか3名、給料もわずか月10万円でスタート。

島根県といっても日本海沿岸ではなく旧吉田村は、
広島県との県境に近い中国山地の麓の山の中「奥出雲」に位置します。

松本清張の名作「砂の器」の舞台になった「亀嵩(かめだけ)」
にも近いところです。奥出雲方言が東北弁に近く、捜査が難航しますね。
山陰にあって東北のイントネーションに近い言葉を話す奥地です。

そんな秘境の奥出雲地方にあって旧吉田村は、古くは「たたら製鉄」で栄えた村です。
http://www.tetsunorekishimura.jp/index.htm 
江戸時代は出雲鉄師頭取御三家の一家で日本一の山林王とも呼ばれた
田部家が経営する製鉄工場の企業城下町として繁栄しました。

(宮崎駿のアニメ「もののけ姫」に「たたら製鉄」が出てきますね。
モデルは奥出雲地方と云われています。ちなみに「千と千尋・・・」も
出雲神話の影響を色濃く受けた作品ですね。奥出雲にも神話にまつわる
遺跡が数多くあります)

しかし近代に入り、たたら製鉄が廃れると、たたらにつきものの
林業が基幹産業になりますが、やがて林業も廃れ、
村は典型的な過疎山村に陥るのです。
ピーク時5000人以上あった人口も半減します。


このままでは村が消滅してしまう、過疎山村を何とかしよう、
ただし、親方日の丸の行政頼み、公共事業依存の他力ではダメ。
村人自らが「自力」で立ち上がらねばならないのだ、と企てられたのが
株式会社吉田ふるさと村なのです。

創業期の資本金1500万円は旧吉田村が三分の一の500万円、
残り三分の二は村民や地場企業などからの出資で賄いました。
この出資比率を見ても補助金頼みで税金をくいものにする、よくある三セクではなく、
村人の自主性のもと設立された会社であることがわかります。

しかし、ご当地のお殿様的存在の田部家からは県知事が輩出され
その田部家の支持を得て政治家になったのが、
島根県を日本一公共事業への依存度が高い県にしたともいわれる
故竹下登元総理大臣です。

そのお膝元にあって、よくぞ、悪い意味での三セクではない
会社が出来たものです。日本も捨てたもんじゃありませんよ。


同社の目的は
・地域産業の振興
・雇用の場の創出
です。

まさにコミュニティ・ビジネスなのです。
参考⇒ http://www.cb-s.net/CB.html

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       顔の見える“接近戦”で、安全・安心・うまいを訴える
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旧吉田村は、山地のため耕地面積は少ないが
澄んだ空気と水に恵まれ、寒暖の差も大きく
少量ですが、おいしいお米や野菜、果物がとれます。

近隣の仁多地域は「東の魚沼、西の仁多」と云われるほどの
ブランド米の産地です。吉田も量は採れませんが質は高いのです。

そんな地物の農産物に付加価値を付けて村の外へ販売し
“外貨”を稼ぐ事業を立ち上げたのです。

今ほど無農薬、低農薬の農産物や無添加の加工品を求める人のいない
80年代から、同社はおいしい上に無農薬・低農薬の農産物を素材に
無添加で加工品を作り、販売を開始しました。

安全で安心でうまい干シイタケ、餅、惣菜の加工食品を、
高岡現専務以下の職員が松江や出雲のスーパーや百貨店に出張し
実演販売をしました。

卸まかせの一般の食品流通ではなく、自ら現場へ出向く
「顔の見える“接近戦”」で、安全・安心・うまいを訴えます。
同社は3期目から黒字決算ができるようになったのです。

ただし、地域を守るための会社です。できるだけ高く仕入れて
手間暇かけて作ります。大量生産もできません。製造コストは高くつきます。
販売価格を高くせざるを得ませんが、それには限度があります。
結果、従業員の給料は安くせざるをえなかったとのこと。

村を守るためにやっているという強烈な使命感がなければ
勤まる仕事ではなかったのではないでしょうか。


販路拡大の必要に迫られるのです。

そんな90年代中頃、地元の農家が家庭用として作っていた「焼肉のタレ」。
これを元にして、しょうゆベースに各種野菜をブレンドしたタレを開発。
「おいしい!」と評判を呼びます。

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           頂上作戦で東京の新規開拓
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販路拡大の必要性から、商品力のある「焼肉のタレ」を引っさげて
東京進出を目論みます。

私(福永)も食べましたが、サッパリして本当においしい焼肉のタレです。
従業員の人件費を抑えていますが、エバラなどのメーカー品よりも
1.5倍くらい高い価格にならざるを得ません。

ですから、この味、この価値、そして村を守るためにやっているんだという
信念への共感が得られなければ扱われませんし、売れません。

そんな意味合いに山の手高級住宅街に店舗をかまえる
某高級食品スーパーが理解を示し、取り扱います。

その店は、本物であれば少々高くても買う目利きで
単なる金持ちではない食文化度の高いお客さんが訪れることで有名な店です。

焼肉のタレとしては並のメーカー品の1.5倍くらい高いといっても
値段にすると100円ほどの差です。目利きのお客さんなら買います。

百貨店の食品バイヤーや、こだわり食品店も、その店を常にウォッチしていると
いわれ、業界の判断基準となっている店です。

そのスーパーでの売れ行きをウォッチしていた各社から引き合いが来て
奥出雲の過疎山村の小さな会社は、次々と新規開拓に成功したのです。

高岡専務は、この某スーパーに入ったのは
知人の紹介で、半ば偶然とおっしゃっていました。

しかし、私は、むしろ「必然性」を感じました。
本物で高額で付加価値が高い商品で、少量しか流通できないのであれば
高級スーパーというチャネルを狙うのが原則にかなうやり方です。

業界の判断基準となるような店で認められたことは大きいです。
山の頂上を陥落させたわけで、他の店は自動的についてきます。

こういうやり方を「頂上作戦」と呼びます。


こうして、株式会社吉田ふるさと村は東京進出を果たします。
そして、いよいよ「たまごかけご飯専用醤油」の話に入りますが、
長くなりすぎます。

今宵はここまでにしとうございます。
続きは次号で。


ここまででまとめておきますと

株式会社吉田ふるさと村は、たまごかけご飯専用醤油で
大きなブームを巻き起こしましたが、このブームが起きなくても
充分に成功している会社です。

また、ブームが去ったとしても、それでダメになる一発屋ではない
地に足のついた会社です。


それは「村を守るための会社」という理念のもと
行われているコミュニティ・ビジネスであるということ。

同時に、そういうやさしさだけでなく
自らの強みに重点化し、接近戦、頂上作戦を繰り広げた
たくましさをもった会社であるということです。


次号をお楽しみに!

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(2)お奨め書籍

《絶賛の講演CD》田坂広志の「仕事の思想」CD
http://www.jmca.biz/fa/shigoto.php?id=8
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なぜ我々は働くのか、仕事の真の報酬は何か、人生の成功とは何か。
この問いに、あなたは何と答えるか…。その答えが、人生の歩みを
分ける。揺らぐことないひとつの思想を手に掴んだ時、成長の真実と
己の使命が見えてくる。田坂広志が問うリーダーのための人間学。
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本誌で取り上げた株式会社吉田ふるさと村の仕事のやり方って
こういうことなのではないでしょうか。
ふるさとを思い、過疎を嘆くのではなく、それを逆手にとった
痛快な事業魂に、相通じるものがあると思います(ふくなが)


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(3)お知らせ
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●拙著ヴージョン2.0「一点突破の法則」発売2週間で重版決定!
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http://www.sengoku-blog.biz/mt-cgi/archives/cat21/


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http://www.sengoku-blog.biz/mt-cgi/archives/cat6/


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(4)近況報告「島根県が生んだ珍品仕掛け人2大巨頭の激突」
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株式会社吉田ふるさと村の取材は、同じ島根県の「ゴリラの鼻くそ」の岡社長に
相談し、商工会議所を通じて段取りしていただきました。

岡社長には、現地まで私を連れていってくださり、取材にも同席していただきました。
島根県が生んだ珍品仕掛け人両巨頭の激突でもあったわけです。
なかなか刺激的でしたよ。

取材後に、たたら製鉄の資料館を見て帰りました。

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■発行人 : ランチェスター戦略コンサルタント 福永雅文
       戦国マーケティング株式会社 代表取締役
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ランチェスター販売戦略は、昭和45年に故田岡信夫先生が
ランチェスターの戦争の法則から初めて導き出したビジネスの戦略思想です。
「勝ち方には一定のルールがある、その基本的思想をランチェスター法則
から学び取れ」が先生の一貫した主張でした。
そして先生は、ランチェスター法則をすべての戦略哲学の中核に据え、
複眼的で弁証法的な発想と、知的な論理の展開法を重視し、
今日のランチェスター販売戦略の全体系を築きあげました。
本誌発行人・福永雅文は本誌を発行するに当たって
先生の先駆的業績に敬意を払い、ここに衷心より感謝の意を表明します。
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