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これまで、起業にとって最も大切なことは、ナンバーワンになることで、そのためには市場を細分化して、狭い範囲に一点集中しなければならないことをお話しました。ソフトバンク(パソコンソフトの卸に集中)、HIS(格安航空券の販売に集中)の事例を紹介しながら。
スポーツシューズメーカーのオニツカもまた、戦後の焼け野原の神戸でバスケットボールシューズに一点集中して起業しました。一点集中こそ、弱者がナンバーワンになる道です。
では「起業は弱者の戦略で」に従って、狭い範囲でも一番になったら、その後はどうすべきでしょうか?
1位の地位に安心せず、2位に対して圧倒的な差をつけたダントツの1位(ナンバーワンと呼ぶ)になるまで、脇目もふらずに攻め続けます。ランチェスター戦略では局地戦の場合は3倍、総合戦の場合は√3(約1.7)倍の差をつけなさいと、しています。
なぜならば、1位であっても2位との差がわずかであれば、いつ逆転されるかわかりませんから不安定な立場です。激しい消耗戦が繰り広げられ、儲かりません。ダントツの存在になれば、無駄な競争は終わり、平和が訪れ、収益性がグッと高まり、その地位は安定するのです。
バスケットボールシューズで1位になったオニツカは、その地位をナンバーワンにするために、トップアスリート用、一般アスリート用、ジュニア用などのタイプ、デザイン、サイズなど、他社がつけいる隙がないように、バシューなら何でも揃うフルアイテム化し、不動のナンバーワンの座を獲得しました。
その次に、バレーボールシューズに参入。同じようにナンバーワンになるまでやったら、その次はマラソンと各個撃破で市場を制覇していったのです。このやり方をオニツカの鬼塚喜八郎さんは「オニツカ錐もみ商法」と名づけました。
分厚い板も錐を使って一点に集中すれば、必ず穴が開くという意味です。
こうしてオニツカは競技用スポーツシューズなら何でも揃うフルライン化して、業界全体でナンバーワンとなりました。こうなると戦いの局面は変わり、ライバルはアディダスなど世界のメーカーです。そしてこの戦いはオリンピックやワールドカップでの世界最高峰のアスリートの獲得合戦でした。ウェア、用具とトータルに提案しないとシューズだけでは戦えなくなったのです。鬼塚さんは決断します。オニツカは国内スポーツウェアメーカー2社と合併し、アシックスとなるのです。
今日、アシックスはスポーツシューズメーカーとしては国内ナンバーワンで世界でも4大メーカーの一角です。総合スポーツ用品メーカーとしても、ミズノとならぶ国内2大メーカーの一つです。アテネ五輪でマラソン金メダルの野口みずき選手も、サッカー日本代表の川口能活選手も愛用していることは有名。
1位になったら、ナンバーワンを目指す。そして次の分野でナンバーワンを作る。実は、この考え方は「強者の戦略」です。1位であれば零細企業であっても強者の戦い方、すなわちライバルにつけいる隙を与えない戦い方をしなくてはならないのです。
今回の結論は「起業は弱者の戦略で。でも1位になったら強者の戦略へ切り替えよ」です。弱者と強者、2つの立場の者の戦い方が出ました。次回はランチェスター戦略弱者の基本戦略について解説しましょう。
投稿者 戦国マーケティング : 2007年8月11日