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経営戦略のバイブル

No.213 トステム住生活グループを斬る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第213号━2008/03/12━━━
        ランチェスター戦略『一点突破の法則』       31,403部
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     ランチェスター戦略コンサルタント 福永雅文 発行

(1)お知らせ・・・・・・「3/18無料セミナー開催」
(2)ランチェスターで斬る・・・「トステム住生活グループを斬る」
(3)お奨め情報
(4)近況報告
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   織田信長(社長)と明智光秀(幹部社員)のコミュニケーションギャップを
   描いた堺屋太一の名作「鬼と人と」。

   社長は「鬼」です。社員は「人」です。
   「人」が普通であって「鬼」が異常なのだと位置づけることから
   社長と社員のコミュニケーションギャップは埋まるのでは、と思うからです。

   これからは「鬼と人と」に加えて、この本もお奨めしようと思います。
   使える本です。
   
 
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東京では春めいた陽気となりましたが
読者様は、お元気にお過ごしでしょうか?

小が大に勝つ弱者逆転を使命とし、一点突破のマーケティングである
「ランチェスター戦略」を伝道しているコンサルタントの福永雅文です。


日経新聞の名物コラム「私の履歴書」。
先月のサッカーの川渕さんも、面白かったが、
今月の住生活グループ前会長の潮田健次郎さんが抜群に面白いです。

小学校6年生のときに結核を患い、二十歳近くまでサナトリウムで過ごした
小学校しか出ていない建具屋(大工さんに建具を販売する店)の息子が
トステム、INAXを中心とする住宅設備コングロマリットの
住生活グループ(売上1兆円超)の総帥になる軌跡が語られています。

潮田さんの人生は「小が大に勝つ弱者逆転」そのものといってよろしいでしょう。


そこで今号では潮田健次郎さんおよび住生活グループの戦略について
勝手ながら斬らせていただきました。


感想など、遠慮なくメールくださいね。
info@sengoku.biz


その前に、お知らせしたいことがあります。
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北辰一刀流「桶町千葉道場」跡地です。
幕末の剣術道場は、単に剣術を学ぶのみならず、
天下国家を論じ、心・技・体を相互啓発して切磋琢磨した、
いわば「梁山泊」です。
歴史大好き人間の私としてはシビレル場所なのです。

ご興味あれば下記で詳細をご確認ください。
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(2)ランチェスターで斬る ■トステム住生活グループを斬る■
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            潮田健次郎さんプロフィール
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潮田健次郎さんは住宅設備業界の巨人ですが、
住宅サッシという一般になじみが少ない分野ですので
その実力のわりには世間的な知名度が低いのではないかと思います。

そこで簡単にプロフィールをご紹介しましょう。


■潮田健次郎(うしおだ・けんじろう)

1926年東京都生まれ。小学6年生の時、結核でサナトリウムに入る。
家業の建具屋を関東最大の建具卸問屋に発展させる。
1953年、住宅用の木製サッシ製造業を開始、66年からアルミサッシ事業に進出。
翌年東洋サッシを新設。アルミ建材総合メーカーとして事業を拡大し、
85年に株式を上場。92年社名をトーヨーサッシからトステムに変更。
2001年INAXと共同持株会社INAXトステム・ホールディングスを設立、
会長に就任。2004年10月にINAXトステム・ホールディングスを
「住生活グループ」に社名変更。2006年退任。


■解説

ざっくばらんにわかりやすくいうと、

大工さんに建具を販売する建具の小売店の息子が、建具問屋になって、
メーカーになって、先発強者ひしめくアルミサッシ業界で
後発弱者でありながらトップメーカーになり、その後、
アイフルホームなどの住宅フランチャイズなど多角化。
INAXをグループに加え、住宅設備コングロマリットを築き上げた。

ということです。


■日経新聞「私の履歴書」

一ヶ月間で人生を振り返る人気コラム。
本日3/12では、木製サッシ製造業を開始して苦闘している段階。

いよいよ、これからアルミサッシ事業に進出し、
弱者大逆転劇が語られることでしょう。

ここで私(福永)があんまり語ると、読むのを楽しみにしている方に
申し訳ないので、ごく簡単にプレビューしてみましょう。

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             後発弱者が先発強者を逆転
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木製サッシメーカーになって10年間赤字という苦闘の後
1963年に、やっと差別化された商品を発売しヒットを飛ばすが、
住宅は木製サッシ時代からアルミサッシ時代へ移行し始めます。

先発は不二サッシ。
その後、アルミ精錬メーカー、鉄鋼メーカー、商社など大資本の系列メーカーが
次々と市場参入し、市場は成長期に突入。普及率が高まっていきます。

ただし、アルミサッシと木製サッシとでは、技術も清算規模も違い、
アルミ圧延のノウハウのない中小企業が簡単に参入できるものではありません。

しかし、木製サッシ市場は衰退期となり、
アルミサッシに取って代わられるのは明らか。
発展性はありません。

潮田さんはアルミサッシ市場への参入を決断します。


後発弱者の潮田さんは「接近戦」を仕掛けます。
建具問屋を経由した流通が一般的だった業界にあって
販社を設立、直販に近いやり方を重視します。
先発強者の牙城が切り崩せなかったこともあったのでしょうが
これが強烈な差別化になったのです。

工務店・大工さん、そして施主のニーズを汲み取り
素材メーカー系の先発強者が苦手とするきめの細かい製品開発に取り組みます。
施工時の窓枠の微妙な狂いが生じても現場で調整できるサッシや
掃除がしやすい主婦が助かるサッシなど「差別化製品」を開発。

地域は地盤である関東に「一点集中」。
地域の集中は物流効率、営業効率を高め、高収益を確保できますので
生産力強化、営業力強化につながります。

後には情報網を築いて「ジャストインタイム納品」を実現。

他社を圧倒し、後発弱者が先発強者を逆転していくのです。

最新のシェア状況は下記の通りです。

1位 トステム 36.2%
2位 YKKAP 30.0%
3位 三協立山アルミ 19.6%
4位 新日軽 13.6%

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      人と同じことをしていたら、人と同じ結果しか得られない
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潮田さんは子供の頃、お父上から
「人と同じことをしていたら、人と同じ結果しか得られない」
と教えられたという。


私の履歴書から引用

(第二回目)

父の言葉は後に私の人生を決定づけるほど、深く心に刻み込まれた。
経営も詰まるところ、他社がマネできない独自性をどれだけ発揮できるかに
かかっている。


(第一回目)

どんな仕事でも工夫次第で自分なりの価値を生み出せる(中略)
「仕事の鬼」と呼ばれる経営者になったのも創意工夫の醍醐味を知ったからだと思う。


(第十一回目、木製サッシで苦しんだ頃を回想して)

 なぜ、赤字になるのか。
一言で要約すれば同業他社との差異化ができなかったからだ。
同じような製品を同じように売っているから買いたたかれる。
製造の知識がないまま参入したから製品に特徴が出せないし、
コスト面でも家族で寝る時間を削って働いているような零細業者には勝てない。
今思えば無謀だった。

 「人と同じことをしていたら、人と同じ結果しか得られない」。
父が教えてくれた通りになった。貧乏な会社の経営を大規模にやったので、
もっと貧乏になった。何らかの差異化ができれば中堅企業や大企業への道が開けるが、
世の多くの中小・零細企業はそれが出来ずに日々苦しんでいる。
当社もその一社だった。

弱者の戦い方がどういうものなのか、強者に転じた後はどう戦うべきなのか、
という「市場地位別」の戦い方、および導入期・成長期・成熟期など
「市場時期別」の戦い方について、この連載は、
とてもよいケーススタディになります。

ぜひ、読んでみてください。


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 ★コラムではトステム潮田さんについて書きましたが
  イオン岡田卓也さんの「私の履歴書」も、とても良かったですよ。


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  変わるのがランチェスターのセオリーですが、資金繰りも変わるということが
  よくわかる本です。


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一つは拙著最新刊『一点突破』がおかげさまで
4刷目の増刷が決まったことです!
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(4)近況報告  ストップ安の株、売り時か、買い時か
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本日、日経新聞に住生活グループの株価が昨日急落したとの記事あり。
業績の下方修正の発表を受けて、売り注文が殺到。一時はストップ安。
5年ぶりの安値水準に。

昨日、今日と苦闘時代のことを潮田前会長が書いていますが
それを浅いレベルで読むと売りたくなるのかもしれませんね。

でも深いレベルで読むなら、売りたくなるでしょうかねえ。

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■発行人 : ランチェスター戦略コンサルタント 福永雅文
       戦国マーケティング株式会社 代表取締役
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*謝辞
ランチェスター販売戦略は、昭和45年に故田岡信夫先生が
ランチェスターの戦争の法則から初めて導き出したビジネスの戦略思想です。
「勝ち方には一定のルールがある、その基本的思想をランチェスター法則
から学び取れ」が先生の一貫した主張でした。
そして先生は、ランチェスター法則をすべての戦略哲学の中核に据え、
複眼的で弁証法的な発想と、知的な論理の展開法を重視し、
今日のランチェスター販売戦略の全体系を築きあげました。
本誌発行人・福永雅文は本誌を発行するに当たって
先生の先駆的業績に敬意を払い、ここに衷心より感謝の意を表明します。
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投稿者 戦国マーケティング : 2008年3月12日